2019年、1月16日に厚労省にて看護師に対する行政処分の審議が行われました。
保健師及び看護師に対する行政処分34名について諮問がなされ、審議の結果、24名に対する行政処分、及び10名に対する行政指導(厳重注意)とする旨の答申がなされた。
24名のうち看護師免許取り消しは3件。取り消しになった事例は
- 準強姦、児童買春、児童ポルノに係わる行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反
- 強制わいせつ
- 非現住建造物等放火未遂
とのこと。
せっかく苦労してとった看護師免許なのに取り消しになったらちょっと悲しいですよね。
この記事では
- 厚労省の行政処分(免許取り消しや業務停止)に対する考え方
- 免許取り消しや業務停止になり得る事案
についてまとめていきます。
僕たち看護師が自分の看護師免許を守るためにどういったことに気をつけて業務にあたるべきか確認していただければと思います。
看護師免許って何やったら取り消し?
看護師免許の取り消しや業務停止は一般的に【行政処分】と言われるようです。看護師免許の取り消し条件を見る前に「厚労省が考える行政処分とは?」について簡単に説明したいと思います。
厚労省の行政処分に関する考え方
看護師免許の取り消しや業務停止などの行政処分は
看護師等が、罰金以上の刑に処せられた場合等に際し、看護倫理の観点からその適正等を問い、厚生労働大臣がその免許を取り消し、又は期間を定めてその業務の停止を命ずるもの
ということらしいです。
びび
「看護倫理の観点から適正を問い、厚生労働大臣が免許取り消しか業務停止かを決める」とありますが、どちらに転ぶかについては司法処分の量刑を参考にしつつ
- 事案の重大性
- 看護師等に求められる倫理
- 国民に与える影響
などの観点から個別に判断されるとのことです。
はぴこ
びび
実際に何をやったら行政処分の対象になるのか?免許取り消しや業務停止になる可能性のある事案について解説していきます!
看護師免許取り消し・業務停止になる可能性のある事案
知らず知らずのうちに自分が行政処分の対象になりうる行為をしていたら大変です。厚労省の文章は堅苦しく僕の頭では理解が難しいのですが、なるべく簡単にまとめてみようと思います。
身分法(保健師助産師看護師法、医師法等)違反
定められた教育課程を修了し免許を取得した者が医療に従事すること及び免許を取得していない者が不法に医療行為を行うことのないよう規定している。
要するに
- ちゃんと決められた教育課程を修了して免許を取った人が医療にあたってくださいねー
- 免許を持ってない人は医療行為を行わないでくださいねー
ということですよね。
時々、看護師求人なんかで「看護学生OK」なんて文言を見かけたりします。OKと書いてあるからOKな内容なんだと思いますが、本当にOKな内容なのかは自分で見極める必要があります。
びび
自分の今の立場で行っていいこと、ダメなことをきちんと把握しておくことも看護師または看護師を目指す者の義務であると言えるでしょう。
行政処分に関しては司法量刑の程度に関わらず重くみるべきと謳われています。今一度、自分が行える行為に関して振り返ってみてください。
麻薬及び向精神薬取締法違反、覚せい剤取締法違反及び大麻取締法違反
これは言うまでもないですよね。
麻薬、覚せい剤、大麻等に関する違法行為はほとんどが懲役刑です。行政処分も
麻薬等の害の大きさを十分認識している看護師等が違法行為を行ったこと、麻薬等を施用して看護業務を行った場合には患者の安全性が脅かされること、さらに、他の不特定の者へ犯罪が伝播する危険があること等を重く見るべきである。
と謳われているため、重い処分が想定されます。
僕たち看護師は麻薬や向精神薬を取り扱うことも珍しくないですよね。もちろん管理が厳重なので違法行為に及ぶということはまずないと思いますが、違法行為を行える立ち位置にいることは確かです。
はぴこ
殺人及び傷害
これも当たり前と言ったら当たり前ですね。
本来、人の生命や身体の安全を守るべき看護師等が、殺人や傷害の罪を犯すことは、看護師等としての資質や基本姿勢が問われるだけではなく、専門職としての社会的な信用を大きく失墜させるものである。特に、殺人を犯した場合は基本的に免許取消の処分がなされるべきである。
と謳われています。異議なし!
業務上過失致死傷(医療過誤)
僕たち看護師の業務は人の生命に直結することも多く、最善の注意が必要となります。その注意義務を怠り、医療過誤を起こしてしまった場合は専門職としての責任が問われますよーということですね。
ただその業務の性質から危険を伴うものであるという認識はされており、
医療過誤は、様々なレベルの複合的な管理体制上の問題の集積によることも多く、一人の看護師等の責任に帰することができない場合もある。看護師等の注意義務違反の程度を認定するに当たっては、当然のことながら、病院の管理体制や他の医療従事者における注意義務違反の程度等も勘案する必要がある。
とも謳われています。
とはいえ、極力さけたいことには変わりないので気を引き締めて業務にあたることが重要かなと思います。
業務上過失致死傷(交通事犯)
交通事故による致死傷等に対する司法処分では、警察等への通報や被害者を救護せずそのまま逃走した事犯の場合、厳しく責任を問われている。
これも基本です。
びび
僕のように訪問系の仕事(訪問看護、訪問入浴、ケアマネ等)をしている看護師であれば車やバイク、自転車に乗る機会も多いと思うので注意していきたいところですね。
危険運転致死傷
これも前項と同じで車やバイクを利用する訪問系の仕事をしている看護師は注意が必要です。ですが教習所で習ったことをしっかり認識できていれば危険運転という行為を行うことはまずないと思います。
わいせつ行為等(性犯罪)
特に、看護師等の立場を利用して行った事犯や、強姦・強制わいせつ等、被害者の人権を軽んじ、心身に危害を与えた事犯については、悪質であるとして相当に重い処分を行うべきである。
看護師は業務上、他者の身体に触れる機会も少なくないですよね。こういった機会を悪用し、わいせつ行為を行ったらダメですよー!ということです。
はぴこ
ここで気を付けたいのは、そういった意識がなくてもわいせつ行為と勘違いされてしまうこともあるかもしれないということです。羞恥心やプライバシーへの配慮は徹底していきましょう。
詐欺・窃盗
これもプライベートな環境で看護を提供する在宅系の仕事の方が発生率が高そうな気がします。普通に考えたらありえない話ですけどね。
びび
例えば、利用者さんによっては認知機能の低下から「〇〇をとられた」と発言する方もいたりしますよね。もちろん病気と断定するのではなく、本当にとられていないのかの確認がまず先決です。
そのうえで窃盗や盗難がなかった場合、こういった事案に関しては
- 介護者立ち合いでサービスを提供する
- 金品を手元に置いておかない
などの対策を講じる必要があると思います。
終わりに
以上が看護師免許取り消しや業務停止になりえる事案です。
どういったことをすると看護師免許が取り消しになってしまうのか?ということをまとめてみましたが、一般的に考えたらまずないだろうという事案ばかりですよね。
はぴこ
びび